Club mark_two


スイスアルプストレッキング

2009.9.18~9.25)

使用カメラ SIGMA SD10 & DP2






きっかけ
1990年10月、ヨーロッパ出張の空いた時間にフランスのシャモニーから登山電車とロープウエイを乗り継いでモンブラン氷河のトレッキングにチャレンジした時の楽しさが忘れられず、次回は、ぜひスイスアルプスのトレッキングをしたいと考えていました。

スイスアルプストレッキングの特徴
マッターホルン、ユングフラウなど、標高4000mを遙かに超える名峰が目白押し、アレッチ氷河も壮大なスケールで楽しめます。
日本の登山は、通常、登山口から延々と続く林道や植林地帯を登り、森林限界を抜けたところで一息、そして頑張って山頂へ というイメージですが、スイスアルプストレッキングは、登山電車やロープウエイ、登山バスなどで展望のいい尾根まで一気に登り、名峰を眺めながらアップダウンの少ないコースを楽しんで歩き、途中の洒落た レストランで景色を眺めながらゆっくりティータイムを楽しむというイメージです。加えて、トイレ事情も素晴らしいです。3000mを超える場所でさえ水洗トイレが清潔に管理され、無料で気兼ねなく利用できることも世界各国からのリピータを増やす要因だと思います。

個人旅行でトレッキング
スイスアルプストレッキングをする場合、旅行会社主催の「パックツアー」に申し込む方法と、個人で航空機やホテルの予約をする「個人旅行」があります。
「パックツアー」は、旅行会社が航空券や宿泊先、観光コースや食事までセットして提供しているプランで、添乗員さんや現地ガイドさんが親切に案内してくれます。
おまかせで連れて行ってもらうという お手軽な反面、旅行会社の営業上の理由もあって内容が「てんこ盛り」になりがちで、特にヨーロッパツアーの場合は、移動移動の毎日が続き、結果「記念写真だけを撮ってどこをどう歩いたのか分からない」というようなことになりがちです。また、山歩きで最も大切な「天候を見定めて行動する」という基本的なことを実現するのがかなり難しいと思われます。

「個人旅行」は、日程にしばられないので、お天気を確認しながら当日の予定を立てられるのが最大の魅力。
最近はネットを駆使して、航空券やホテルの予約から現地の情報をGetすることなどが簡単にできるようになっていますが、やはりパックツアーに比べて事前準備が必要ですし、現地では列車の発着ホームを調べたり、バスの乗り場を探す手間が必要です。
こうした苦労をしてでも、自分の頭で考えて歩いた「コース」はいつまでも素晴らしい景色とともに記憶に残るものです。

スイスアルプストレッキングの場合、日本人は圧倒的に「パックツアー」を利用する方が多く、今回はシルバーウイークと重なったこともあって、定員いっぱいの30~40人の団体を数多く見かけました。
日本と同様に韓国の方も団体で賑やかに行動していることが多いようです。反対に、最近急増している富裕層と思われる中国人旅行者は個人旅行している方がほとんどで、同じアジアの国でも日本や韓国の旅行者と比べて好対照です。もちろん他のヨーロッパ諸国やアメリカ合衆国の旅行者は、「個人旅行者」が殆どなので、団体で行動する日本や韓国の旅行者は現地でかなり目立つ存在です。

スイスは個人旅行がしやすい国
国土の殆どが険しい山地で、牧畜くらいしか産業がなかったスイスは、美しい自然を武器に外国からの観光客を積極的に誘致することで今のような豊かな国になりました。人口の2/3が観光産業に従事していると言われているほどです。このため、スイスカードやスイスパス(国内の交通機関が乗り放題になるチケット)など外国からの観光客に対して非常な便宜を図っています。
個人旅行者が一番戸惑う列車の乗り換えも、駅の窓口で「タイムテーブル、プリーズ」と言えば、その時点で一番具合がいい列車の発車時刻と乗車するホームの番号、そして、乗り換え駅への到着時刻と到着ホーム番号、乗り換える列車の発車時刻と発車ホーム番号などを見易くプリントアウトして渡してくれます。
これらのことは、個人旅行が楽にできるということですからこの機会にぜひチャレンジしてみてください。
今回は、シルバーウイークと重なり、スイスへの直行便が満席で予約できなかったため、23時55分関空発のエミレーツ航空EK-3317便に搭乗し、ドバイを経由してチューリッヒに向かいます。
ドバイに到着したEK-3317便、ここで同じエミレーツ航空のチューリッヒ行きの便に乗り換えます。
今回滞在するグリンデルワルトのホテル「ダービー」

ホテルの玄関は「グリンデルワルト駅」のプラットホームにあり、アイガー北壁が間近に見えるという好立地条件のホテルです。
日本からのパックツアー

バス停で発車を待っている少しの時間にも、道路を挟んだ反対側では、
数多くの日本人のパックツアーの皆さんが集合して、
旗を持った添乗員さんを先頭に次々と出発して行きます。





ベルナー・オーバーラントの名山 アイガー、メンヒ、ユングフラウの山群 (9月23日 ミューレンにて撮影)

この素晴らしい風景を見るためはるばる日本からやってきました!



グリンデルワルト周辺には延長 500Kmを超えるトレッキングコースがあります。
その中で、私まーくつうが実際に歩いたお気に入りのコースを紹介します。

スイスアルプストレッキング(1日目)
<<< コース >>>

グリンデルワルトのバス乗り場から「郵便バス」に乗って「オーバーグレッチャー」で下車。気持ちのいい林間の道を15分ほど歩いて上氷河入り口へ。
入場料6CHFを支払って木の階段を800段上がり上氷河へ。
同じコースを戻り、再び郵便バスに乗って「クローセ・シャイデック」へ。
ここからベッターホルンやアイガーの素晴らしい峰々を眺めながら「フィルスト」までトレッキング。
フィルストの展望レストランでゆっくり食事を楽しんだあと、ゴンドラで一気にグリンデルワルトに戻ります。

GARMINの GPSmap 60CSx による1日目のトラックログを表示しました。



今回利用した郵便バス。
スイスでは郵便集配車とバスが一体となったポストバス(郵便バス)が
公共交通機関として活躍しています。
郵便バスの発車前、運転手さんたちの談笑風景

郵便バスの運転手さんたちが集まってきて楽しそうです。



郵便バスで、オーバー・グレッチャー(ホテルヴェッターホルン前)に到着しました。 グリンデルワルト上氷河への案内板



800段の階段を上り「上氷河」の最高地点まで行きましたが、地球温暖化のためか
この場所から さらに 50m程上の地点まで氷河は後退していてこの日は氷河を見ることが出来ませんでした。

10年前の写真ではこの付近は厚い氷河に覆われていて観光用のトンネルが掘られていたようです。



岸壁に張り付いた800段の階段を下ります。 再びバスに乗ってクローセ・シャイデックに到着しました。



クローセ・シャイデックからフィルストに向かって歩きます。

途中ラジコン飛行機を飛ばしている人たちがいました。



ブルーベリーの紅葉と名峰です。 休憩してのんびり景色を楽しんでいる人たちもいます。



ここは、名峰に向かって歩く素晴らしいトレッキングコースです。



 <<マーモットの生息地>>

リス科。赤茶の毛色をしていて、体重は大きくても4.5kgくらい、体長は60cmを超えるものもいるそうです。
日本には生息していません。



付近を歩いていたトレッカー全員で冬眠前のマーモットを見たあと、フィルストへの最後の坂を登ります。

トレッキングコースはどこもきれいに整備されています。



スイスアルプストレッキング(2日目)
<<< コース >>>

グリンデルワルトからグルントまで歩き、ゴンドラ乗り場へ。ここでヨーロッパ一長いゴンドラに乗って一気にメンリッヘンへ。
メンリッヘンからクライネ・シャイデックに向かってのんびりトレッキング。途中、冬眠前のマーモットに出会いました!!
クライネ・シャイデックでゆっくり食事のあとヴェンゲン・アルプを経て、ヴェンゲンへ。ここで電車に乗り、グリンデルワルトに戻ります。
GARMINの GPSmap 60CSx による2日目のトラックログを表示しました。


クルントのゴンドラ乗り場

グリンデルワルトのホテルからゴンドラ乗り場までゆっくり歩いて15分くらいです。
ヨーロッパ一長いゴンドラで一気に
標高2229mのメンリッヘンに到着です。

天気予報は晴れですが朝早いためか
周囲は霧に覆われています。


少し歩くと霧がはれて太陽が差し始めました。今日も期待できそうです。

急斜面を地元の猟師さんがかけ降りてきました。肩には猟銃が…



同じコースを歩いた中国人の親子連れ

私、まーくつうがコカリナで
♪♪ ド・レ・ミ・ファ ソーラ ファ ミ・レ・ド ♪♪ と演奏すると
かわいい声で歌ってくれました!
霧が晴れて青空が広がり、前方に名峰が、
そして、下には地元の村が見えてきました。


巨大なアイガー北壁がどんどん迫ってきます。

ブルーベリーの紅葉もきれいです。


 <<ブルーベリーの紅葉>>

ブルーベリーが見事に紅葉しています。実も沢山食べましたが甘くて美味しいです。



シルバーホルン(別名おっぱい山)も見えてきました。

ユングフラウのすぐ横の位置で きれいな形で聳えているシルバーホルン。
この山のイメージによって、ユングフラウ(若い娘)という山全体のイメージが
出来あがって ネーミングされたという話も この形を見ると納得です!!!



ヴェッターホルンとアイガー(北壁)

ヴェッターホルンは「お天気山」として地元グリンデルワルトの人たちに親しまれています。
「山頂に雲がかかると、お天気が悪くなる」 らしいのですが、
今日は、きれいに山頂が見えているので、お天気は大丈夫です。



トレッキング道横のレストラン
クライネ・シャイデック

ここは、ユングフラウヨッホへ行く登山鉄道の基地になっています。
アイガー氷河もきれいに見えています。


クライネ・シャイデックのレストラン

ここは、鉄道の駅がレストランになっています。
ホームに設けられたオープンテラスで乗降客を眺めながらゆっくり食事をします。



左側に、アイガー、メンヒなどの名峰を眺めながら「ヴェンゲン」へ向かいます。




 ヴェンゲン・アルプ

クライネ・シャイデックとヴェンゲンの中間地点


ヴェンゲン・アルプからの眺め

こんな素晴らしいトレッキングコースを歩きました。


 <<ヴェンゲン>>

ユングフラウに最も近い村ヴェンゲンに到着しました
ここは、氷河に削られた谷(ラウター・ブルンネン)横の断崖絶壁の上に位置している静かなリゾート地です。



スイスアルプストレッキング(3日目)
<<< コース >>>

グリンデルワルトから朝一番の電車に乗りユングフラウヨッホへ。(ユングフラウ鉄道の料金は非常に高いので期間限定で始発電車のみに適用される早朝割り引きを使います。)
標高3454mのユングフラウヨッホで素晴らしい景色を楽しんだ後、アイガーグレッチャーでは氷河を探検。
アイガーグレッチャーからクライネ・シャイデックまでトレッキングのあと電車でミューレンへ。
ミューレンからヴインターエックまでのトレッキングを楽しんだ後、電車&ケーブルカーを乗り継いでグリンデルワルトに戻ります。
GARMINの GPSmap 60CSx による3日目のトラックログを表示しました。


午前8時54分 鉄道駅としてはヨーロッパの
最高地点にあるユングフラウヨッホ駅に到着しました。
標高3571mの地点のスフインクス展望台の屋外バルコニー


展望台はこんな場所に建てられています。 正面に見える岩峰は、標高4099mのメンヒ!


シルバーホルン(標高3695m)と、ユングフラウ(標高4158m)


延長24Kmにも及ぶアレッチ氷河


アイガーグレッチャーで氷河を見るため周辺を歩きます。 アイガー氷河の割れ目


割れ目から氷河の内部に入ります。


アイガー・グレッチャーからクライネ・シャイデックまでトレッキングです。


ミューレンに到着しました。駅前のレストラン「アイガー」のオープンテラスでゆっくり昼食です。

ミューレンは、氷河に削られた谷(ラウター・ブルンネン)横の村で、
登山鉄道駅とロープウエイ駅が村の両端にあります。
ユングフラウ、メンヒ、アイガーの眺めが特に素晴らしいです。



ミューレンでは、ユングフラウが正面に見えます。 また、右側にブライトホルンも見えてきました。



スイスアルプストレッキング(4日目)
<<< コース >>>

グリンデルワルトから電車に乗り、インターラーケン・オストを経由してブリエンツへ。
ここからは、今も、蒸気機関車が走る有名なロートホルン鉄道に乗りロートホルン・クルムへ。
山頂に登った後、再び、ロートホルン鉄道でブリエンツに下り、港からブリエンツ遊覧船でインターラーケン・オストに戻ります。
GARMINの GPSmap 60CSx による4日目のトラックログを表示しました。


ブリエンツ・ロートホルン鉄道

標高566mのブリエンツから標高2252mのロートホルン・クルムまでの間を
1時間で登る登山鉄道です。白い煙を吐きながら時速 8Kmで急斜面を登る
小さな赤い客車と蒸気機関車は観光客の人気の的! 
このロートホルン鉄道は1892年の創業という長い歴史を持ち、
スイスで唯一定期運行しているアプト式蒸気機関車です。




秋の行楽シーズンのためか乗客が多く、3台の蒸気機関車が同時に運行されています。





中間駅

ここで機関車に給水をします。
どんどん高度が上がります。


ロートホルン・クルム山頂駅に到着しました。


山頂駅から山頂までは15分くらいです。 ロートホルン・クルム山頂


山頂からは周辺の山々へ沢山のトレッキングコースが作られています。


余裕があったので隣の山の頂上にも登ってみました。 眼下にはブリエンツ湖が見えています。


山頂のレストラン

皆さん、素晴らしい景色を見ながら食事を楽しんでいます。


ブリエンツ湖遊覧船でインターラーケンオストに向かいます。 ブリエンツ湖の素晴らしい景色


ブリエンツ湖遊覧船内の様子


「シルバーウイーク」の休日を利用して、あこがれだった秋のスイスアルプスを歩きました。

数多くの高山植物の花々が咲き乱れる夏のスイスアルプスも それは素晴らしいのですが

どこまでも青く澄みわたる空、見事に色づくカラマツの黄葉やブルーベリーの紅葉と、
新雪を抱いて白く凛と聳えるアルプスの名峰とのコントラストは、この季節ならではの魅力でした。

そして、夏の登山シーズンの喧騒がうそのような静かなトレッキングを
地元のハイカーの人たちと一緒にゆっくり楽しむことができました。

この季節に再び、そして、季節を違えて、何度でも訪れたいスイスアルプスです。

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